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予防と健康レポート
1.はじめに
今回、私は予防と健康の授業のレポートとして、まず授業で水俣病やSNPに関するビデオを見て、その後、キーワードを選択し、そのキーワードに関係する論文を図書館から探して、ビデオの内容と論文を合わせてその概略と、考察を書いた。
2.キーワード
私は、「中毒」と「運動障害」をキーワードに選んだ。
それを医学中央雑誌のホームページで検索すると、40程の論文が見つかった。その中から、アルコール中毒に関するものと、精神病薬の副作用に関する論文を見つけ、レポートの材料とした。
3.論文
まず1つ目はWernicke−Korsakoff症候群
Wernicke脳症はビタミンB1(以下、VB1)欠乏によってひき起こされ、意識障害、眼球運動障害、運動失調を3主徴とする代謝性中枢神経疾患である。Wernicke脳症にひき続き精神障害を合併したKorsakoff症候群をひき起こすことが多いため、通常は、Wernicke-korsakoff症候群と総称される。
典型例の多くは長期にわたるアルコール摂取後に栄養障害に基づくVB1欠乏を契機に、上記3徴候のいずれかあるいは全てを示す。Wernicke脳症が生ずる例が多いが、その病因はきわめて多彩である。
従来から剖検を中心とした病理学的報告と慢性アルコール患者を対象とした臨床報告が数多く発表されてきた。
病歴の明らかな97名中の94例がアルコール常用者で、残りの3名中の1名は小腸切除例、1名は胃亜全摘の既往歴があった。また、約1/3の症例では単に眼振、外眼筋麻痺、失調性歩行、精神症状の1症状しかなかったとされ、大多数は精神症状のみで認知症という曖昧な診断が下された症例も多かったという。以上、Wernicke-Korsakoff症候群は日常的に見過ごされている可能性が高いtreatable neuropsychological disorderと考えられる。
健康成人のVB1の1日最低必要量は約1mg/日とされている。VB1は水溶性ビタミンであるため、大部分がサイアミンピロリン酸の形で20mg程度が骨格筋、心臓、肝臓、脳に貯蔵されている。食物中のVB1(サイアミン)は小腸上部で吸収され、組織内に蓄えられる。ピルビン酸からアセチルCo-Aへの脱炭酸反応などの補酵素として作用し、神経機能の維持をしている。ゆえに、心血管系と神経系の急性または慢性症状がVB1の欠乏症状として出現する。その結果、乳酸が血中に蓄積するため、心血管系に対し、循環血液量の増加のため心不全、または脚気心をひき起こすことがある。末梢神経系に対しては、遠位部優位の軸索変性をきたすが、これも解糖系のエネルギー産生障害と付随した病因によりひき起こされると考えられている。またサイアミンの低下によりアセチルコリン、アスパラギン酸の代謝合成が低下し、コリン作動性ニューロンやノルアドレナリンの代謝も障害される。本疾患の誘因として慢性アルコール中毒が最も多い。
臨床像としては初診時は3大徴候は1/3のみみられる。また、それにつづくKorsakoff症候群の4大徴候として、@失見当識、A健忘、B作話、C病識の欠如を認める。Wernicke脳症の発症は比較的急速であり、動きの目立たないせん妄がしばしば認められ、精神症状を欠く例はほとんどないともされる。四肢の運動失調は体幹運動失調を認めるが、頻度の高い徴候ではない。起立や自立歩行が不可能となるが、上肢の運動失調、構音障害、動作時振戦は比較的まれである。
眼球運動障害は左右注視時の水平性眼振および水平性眼振が多くみられる。外眼筋麻痺では外転神経麻痺が特徴的であり、さらに共同眼球運動障害などが多い。なお、外転筋麻痺の完全麻痺時には外方視時の眼振のは観察されず、麻痺が軽快する途中で眼振が認められる。また、通常は3週間以内に外転筋麻痺は改善するという。
臨床検査所見は、血中VB1の低値が疾患特異的である。それ以外に疾患特異的な末梢血、一般性化学、免疫異常はない。しかし、通常の程度は様々であるが、肝障害などの肝機能障害や、脂質,糖質異常を伴う。
治療法としては、発症が疑われたら直ちにサイアミン50mgを静注および筋肉注射でおのおの投与する。その後は、血中VB1を定量しつつ、通常の食事が摂取できるようになるまで静注および筋肉注射で連日50mg〜100r投与する。また、アルコール多飲者に多く認められる低マグネシウム血症はサイアミンの効果発現を抑制するために、血中Mg濃度を測定しつつMgの補給も重要である。
Wernicke脳症の神経病理は、肉眼的には急性期に死亡した症例では乳頭体、中脳水道周囲灰白質、第四脳質底、第三脳質周囲に点状出血を伴う壊死層が認められ、慢性期の症例では乳頭体は褐色に萎縮し、脳質周囲ではのう胞上の陳旧性の小壊死層が認められることがあるが、基礎疾患がアルコール中毒症の症例では原疾患による小脳変性との区別が難しく、それ以外の部位には明らかな疾患は無いとしている。
2つ目は新規抗精神病薬にみられる錐体外路系副作用
錐体外路症状は統合失調症精神病の治療薬として用いられる抗精神病薬の副作用として最も頻繁に出現する副作用の1つである。その症状は、主として服用直後や増量時に出現しやすい急性錐体外路症状(パーキンソニズム、アカシジア、ジストニア)と長期服用後にみられる遅発性ジストニア(以下、TD)に大別される。急性期錐体外路症状は通常より速やかに軽快することが多いが、TDは減量や中止をしてもしばしば持続することから定型抗精神病薬を主体とした薬物療法における限界の1つと考えられていた。しかし、錐体外路症状の少ない新規(非定型)抗精神病薬が1990年代後半からわが国でも順次使用可能となってきている。
錐体外路症状は大きく4種類あり、まずパーキンソニズムがある。これは振戦、筋強剛、無動、動作緩慢などの症状がでて、歩行は小刻みな遅い歩き方のなり、前屈姿勢で上肢の振れが少なく止まろうとしても止まらない前方突進現象のみられることのある疾患である。次にアカシジアがある。これは「じっとしていられない」、「落ち着かない」、「体がムズムズする」といった内的不安感と静座不能、足踏み、足の組み換え、体の揺り動かしなどの客観的な運動亢進症状の2つで構成される疾患である。重症の例では、その苦痛のために自殺の一因になることも報告されている。次にジストニアは、筋肉の異常の亢進によって引き起こされる症状の一群であり、舌のねじれや飛び出し、体幹のねじれなどがある、治療困難なことが多い。最後に遅延性ジストニア(TD)は顔面、口部、舌、顎、四肢などに出現する無目的で不規則な動きをする運動障害である。パーキンソン薬の投与では改善が見られず、しばしば非可逆的な転帰をとるが、新規抗精神病薬が使用されるようになってからはそれらに切り替えることにより軽減あるいは発症頻度が少なくなることが報告されるようになっている。
新規抗精神病薬にはリスペンドン、クエチアピン、ペロスペリン、オランザピンがある、この4剤について、それぞれの臨床試験の文献に基づき、短期投与の二重盲検比較対照試験におけるTD発症率をみると、いずれの薬剤も急性錐体外路症状の発症頻度はプラセボと同等、あるいは定型抗精神病薬と比べて低率であることが報告されており、またまたこのことからTD発症率の低いことが想定されている。
4.考察
Wernicke-Korsakoff症候群はアルコール中毒の患者に見られ、栄養障害に基づくVB1欠乏が原因の疾患である。その3主徴の1つに運動失調がある。原因はコリン作動性ニューロンやノルアドレナリン代謝が障害されることによる。また、抗精神病薬にも、副作用として運動障害が起こることがある。これは、錐体外路系が傷害されることによる。ビデオで見たのは水俣病についてであったが、水俣病も、メチル水銀中毒による、運動障害が起こる。授業で習ったのだが、これら、神経系の異常は、神経が再生しないため、治らないことが多い。よってそのような症状のでる薬や物質には特に気をつけないといけない。
Wernicke-Korsakoff症候群はアルコールの取りすぎなど、日々の生活の改善で防げる病気だが、メチル水銀中毒や、抗精神病薬の副作用についてはわれわれが努力しても防げない病気である。
私たちが普段気をつけていれば予防できる病気であれば、できる限りの努力をするべきである。しかし、われわれの力では予防できない病気は罹ってしまったら、どうすることもできない。抗精神病薬については、副作用の少ない新薬の開発がすすんでいるが、神経系に副作用が残ってしまったら、回復はほとんど不可能である、水俣病についても同じことである、
ビデオでみたが、水俣病については、住民、チッソ(メチル水銀汚染を起こした会社)、政府の間で争い事が起きており、特に住民と政府の間では、水俣病認定問題で50年以上もめている。
このような事にならないようにはどうすればよいか。まず、有害な薬や物質についての知識を十分に身に付けないといけない。有毒性の調査が不十分だと、過って海にながしてしまい水質汚染を起こす事も起こるし、薬の服用によって重い障害が残ってしまうこともあるかもしれない。私たちは医学生なので、そういった知識はこれから取り入れなければならない。そして、将来そういった知識を、患者さんと接するとき、研究するよき、会社に勤めるとき等にいかしていかないといけない。次に、もし問題が起きてしまった場合、これは前記の事項がしっかりと出来ていたなら、誰も予想できなかった事態である。このような場合は行政がどうにかしなければならない。水俣病では対応が不十分だったために大きな問題になった。水俣病に限らず、今後事故が起きる可能性は考えられるので注意が必要だ。
5.おわりに
今回、論文を検索して自分で調べるということをしたが、これは非常に役に立ったと思う。パソコンを使って膨大な量の論文から、自分の目的に合ったものを選ぶことが出来るということに驚いたし、これからもどんどん図書館に行って調べ物をしたりしたい。