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レポート
                          

1.はじめに
水俣病のビデオや遺伝子についてのビデオを見て、興味を持ったワードを選びそのワードが含まれている論文を読み、論文の概略、ビデオおよび論文についての考察を書く。

2. 選んだキーワード
methyl mercury oxidative stress

3. 選んだ論文の内容の概略
題名:Maternal Milk as Methylmercury Source for Sucking Mice:neurotoxic Effects Involved with the Cerebellar Glutamatergic System

著者:Manfroi CB, Schwalm FD, Cereser V, Abreu F, Olivrira A, Bizarro L, Rocha JB, Frizzo ME, Souza DO, Farina M.

概略:メチル水銀(MeHG)は、非常に神経毒性の高い化合物である。数々の研究の中で周囲の環境によって、メチル水銀に影響された母親の産んだ子供は神経毒性の中毒を示すという報告がある。 といえども、動物や人間では胎内でメチル水銀に影響をもたらされて神経学的欠損が生じるということはもはや確立されていることである。
しかし、神経毒が子孫に、メチル水銀によって影響をもたらされた乳汁分泌の排他的な原因によって引き起こされる可能性があるという証拠はどこにもない。この研究の中で、まだ母乳を必要としているネズミ(スイス・アルビノ)の小脳の中のグルタミン酸の恒常性(グルタミン酸の摂取)や、酸化ストレス(全体の非タンパク性のメルカプト基の集団や、非タンパク性のヒドロペルオキシド、グルタチオンペルオキシダーゼ、そして、カタラーゼの活動)に関連している生化学的なパラメーター上で、母乳を通して侵入したメチル水銀がどれほどの影響をもたらしているのかを全面的に調査をした。
また、このパラメーター上で母ネズミの小脳の数値も求めることにした。
まずはじめに、これらの結果は、授乳によってのメチル水銀の影響は小脳の部分でのグルタミン酸塩の摂取を高い確率(約50パーセント)で抑制が生じるということが示された。これに反して、水に水銀を加え(その濃度15mg/l)飲み水にし直に口で摂取した母ネズミには、このような結果は観測されなかった。それに加えて乳離れしたネズミに対するメチル水銀の影響によって、ネズミの性質や機能をどのように変化させてしまうのかを観察した。
この結果、小脳の中に非タンパク性のヒドロペルオキシドのレベルが増加したことが観察された。そして、この増加は小脳の部分でのグルタミン酸の取り込みと相互関係があるということはあまりいえない。
この研究では、@授乳ネズミに対するメチル水銀の影響は、そのネズミの子の小脳の部分によるグルタミン酸の取り込みを抑制している。Aこの抑制するという効果は、ヒドロペルオキシドのレベルの増加に関係があるらしいということが示された。

4. 選んだ論文の内容と、ビデオの内容から、自分自身で考えたことを、将来医師になる目で捉えた考察

キーワードで選んだmethyl mercury oxidative stressとは、メチル水銀と酸化ストレスのことである。メチル水銀は水俣病の原因の主なものである。酸化ストレスとは、メチル水銀によって誘発された神経毒症状に関連する主なメカニズムのひとつのことである。
水俣病については、有機水銀中毒による神経疾患である。四肢の感覚障害・運動失調・言語障害・視野狭窄などを起こし、重症になると死亡する。1953〜59年に水俣地方で工場廃液による有機水銀に汚染した魚介類を食したことにより集団的に発生したものだ。

<論文より>
メチル水銀によって神経毒をきたされた人のみではなく、その人の子供までもが影響を受けるのだと知った。このようなことが生じる原因はメチル水銀が栄養と間違われて胎児に運ばれていった、もしくは、母乳に混じって子供に入り込んだからである。このことから、メチル水銀はとても毒性が強く本当に危険なものであるが遺伝するものではなく伝染するものでもないことがわかる。つまり、胎児の時にメチル水銀におかされ水俣病を患ってしまった人(胎児性水俣病患者)の子供は正常に生まれてくるだろうと予想できる。また、完全な治療法はないが、小脳でのグルタミン酸の抑制の原因はヒドロペルオキシドに関係があるらしいというところから、どうにかしてヒドロペルオキシドのレベルを下げることによってメチル水銀中毒をやわらげることができるのではないかと推測できる。

<ビデオの内容より>
当時水俣病と認定するのは、最終的には医師ではなく県が認定しなくてはならなかった。もし、水俣病であると医師が診断しても、県がこれを認めなければ治療などにかかるお金は全て患者さんが負担することになる。
また、水俣病の原因が何であるかを探るために、ネコに水俣湾でとれた魚介類を食べさせたら水俣病患者の人と同じような症状がでたという結果を出したのにもかかわらず、国もすぐには、対処をせず、汚染された魚介類が原因とは言いきれないとした。さらに、廃水処理をするために、新しく装置を設置したが、これは有機水銀の除去には全く効果がなかった。また工場は処理装置の設置段階から効果がないことが分かっていたのに、そのことを公表せずにいた。そのため住民は安心し、もう水俣病にはならないだろうと魚介類を食べつづけ、水俣病に苦しむ人々はますます増加していくことになった。水俣病がこんなにも広がったのは、すばやく対処しなかった国、有機水銀を除去しなかった工場の双方に責任がある。しかし、水俣病にかかってしまった患者さんには何の罪もない。国も工場も水俣病で苦しんでいる人々のことをもっと深く受け止めなければならない。いまだにこのことについて決着がついていないのは金銭面だけではなく国や工場が自分たちの責任だと心の底から感じていないのも原因のひとつであると思う。水俣病の患者さんと国のやり取りを見ていると国が責任を逃れようとしているかのように感じてしまう。水俣病の患者さんが必要としているのは金銭面はもちろんのこと工場や国からの心からの謝罪の言葉であるとおもう。そして国、工場、患者さん、お互いが心からの和解ができるような対策を今後も考えつづけなければならない。


<遺伝子について>
遺伝子は様々な病気の原因の一つである。ヒトゲノムの解析が終了し、どの遺伝子がどの病気を引き起こしているかが分かり始めている。ゲノムを読み取り将来どのような病気になる可能性があるかを知ることができる。
しかし、そうした中でメリットだけではなくデメリットもある。
そのデメリットの一つに将来患うであろう病気を知り、まだその病気にかかっていないのにもかかわらず絶望し、強い不安感を抱えながら生活していくことになる。将来なるであろう病気に毎日おびえながら精神的にも病んでしまう恐れがでてくる。他の問題として、保険加入時に問題が発生するかもしれない。将来ガンにかかる確率が非常に高いと分かってしまえば、ガン保険に加入することが出来なくなってしまうかもしれない。また、金儲けの手段として使われる恐れもある。現在、個人情報の漏えいがいたるところで生じている。個人のゲノム情報が漏えいすることは、本当に恐ろしいことである。こうしたことを防ぐために、自分の患うであろう病気を知ってしまった患者さんをきちんとサポートする体制を整えたり、ゲノム情報のセキュリティを完璧なものにしたりしなければならない。
しかし、遺伝子を読み取るということは、とても役にたつことである。デメリットを恐れるよりも、この技術を利用するべきである。現在、食生活の乱れや、運動不足、生活習慣の乱れによって生活習慣病を患ってしまう人が増加している。この生活習慣病の原因の一つに遺伝子が関わっている。そこで、個人の遺伝子を読み取ることによって、生活習慣病に罹り易いか否かを知ることができ、罹り易い人には、運動をすすめたり食生活の改善をすすめたりして、病気になることをあらかじめ防ぐことができる。
また、個人個人薬の効き方も違う。遺伝子から体質をよみ、その人に一番適した薬の量を決めることができる。つまりオーダーメード医療である。
このように、遺伝子を読み取るというすばらしい技術を用いることにより、数多くの人命を救うことができる。この技術が有効に活用されることによって病気に苦しむ患者さんを少しでも減らせることができればよい。


5. まとめ
水俣病のように、その病気のことをよく理解していないがために、間違った対策をしてしまい、たくさんの患者さんを苦しめてしまったことは過去にたくさんある。例えばハンセン病だ。授業のいっかんでハンセン病患者さんの収容所に行ったことで、より患者さんの苦しみを知ることができた。
このようなことを繰り返さない為にも、医師と国の連携がきちんとしていなければならない。どちらか一方がしっかりしていても、もう一方が働かなければ意味がないのである。このようなことで一番苦しんでいるのは医師でもなく国でもなく患者さんなのだ。
また、ヒトゲノムの解析といった、正しく利用すればとても役に立ち、悪用しようとすれば限りなく悪いことに使える技術は、数多くある。例えばクローン技術がその中の一つだ。全能性幹細胞によって、本人の臓器を作ることによって拒絶反応に恐れることなく臓器移植することが可能だ。しかし、興味本位で人間そのものを作りだそうとする人がいるかもしれない。命というものに対しての価値観がゆがんでしまうだろう。
技術の進歩によって可能になったヒトゲノム解析やクローン技術。これらの技術を間違った方向に使わないためにも、きちんと良心や人間としての常識をを忘れないようにし、たくさんのひとの命を救うことに役立てなければならない。
最後に、医師という仕事は患者さんの病気を治すということだけではなく、患者さんを社会的差別から守ったり、より医学が発展していくように貢献したりと様々なことをする仕事であることがわかった。将来医師になる上でこのようなことを忘れないようにし、より一層患者さんを守れる医師になることが必要である。