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1 はじめに
授業で、塩基配列と肥満や、様々な病気との関係に関するビデオを見せてもらって、塩基配列と病気の関係に興味をもった。私は花粉症なので、花粉症にとても興味があったので花粉症と塩基配列というキーワードを選択した。以下に私が参考にした論文により得たことを記す。
2 選んだキーワード
塩基配列 花粉症
3 選んだ論文の内容の概略
スギ花粉のDNAワクチン療法と、アレルゲン免疫療法の現状と展望について説明する
まず、スギ花粉のDNAワクチン療法について説明する。
1スギ花粉のDNAワクチン療法
はじめに
まず、初めに抗原タンパク質が発現し、抗原特異的な免疫応答を誘導できる。この手法はDNAワクチンと呼ばれる。DNAワクチンの利点としてはタンパク質その物を免疫原とする場合と比較して1 免疫応答が長時間持続すること。2 プラスミドは精製が簡便であり、安定であること。が考えられる。DNAワクチンは感染症の新世代ワクチンとしてだけでなく、癌やアレルギーの治療にも利用できる。以下に、アレルギー治療を目的としたDNAワクチンについて説明する。
DNAワクチンによるアレルギー治療
CD4陽性T細胞は細胞性免疫に関与するTh1細胞へと分化する。あるいは液性免疫に関与するTh2細胞へと分化する。このうちT型アレルギーに関与するのはTh2細胞である。Th2細胞が産生するIL−4はB細胞に関与し、アレルギーの原因であるIgEの産生を促進する。一方Th1細胞やCD8陽性T細胞の産生するIFN−γは、Th2細胞の分化と機能を抑制する。そこでDNAワクチンによりアレルゲン特異的なTh1細胞やCD8陽性T細胞が誘導できれば、アレルギー反応を制御できると考えられる。ラットにダニアレルゲンDerp5の遺伝子を挿入したプラスミドDNAを筋肉注射するとIFN−γを産生するCD8陽性T細胞が誘導されDerp5特異的IgE抗体の抑制や気道過敏性の亢進の改善が認められることが分かった。β―ガラクトシダーゼの遺伝子を挿入したDNAワクチンをマウスに内部投与した場合にβ―ガラクトシダーゼ特異的IgEの産生の誘導を抑制できること、その抑制にはTh1細胞およびCD8陽性細胞がともに関与することが分かった。このことが分かった後、アレルギー疾患の治療のためのDNAワクチンの研究が盛んに行われる様になった。
プラスミドDNAを生体に投与すると、Th1型の免疫応答が誘導される。これはプラスミドDNAに存在するメチル化されていないCpG配列によるところが大きい。微生物由来DNAに存在するCpG配列、特に5'プリンープリンーCG−ピリミジンー3'の配列にはTh1型免疫誘導の強いアジュバント能があり、ISSと呼ばれる。ISSはNK細胞やT細胞に作用してIFN−α、IFN−β、IFN−γおよびIL−12の産生を促す。
DNAワクチンの筋肉注射投与によるスギ花粉アレルゲン特異的IgEの抑制
現在、スギ花粉症の予防および治療への応用を目的としたDNAワクチンの開発が進められている。スギ花粉症の原因となる主要アレルゲンの一つであるCry1のcDNAをサイトメガロウイルスのエンハンサーおよびチキンβアクチンのプロモーターを有する発現ベクターpCAGGSに組み込んで、DNAワクチン(pCACJ1)を作成した。
生理食塩水に溶解した100μgのpCACG1を4回、BALB/cマウスに筋注投与した場合にCryj1特異的IgG抗体の産生が認められた。
この時Th1細胞が誘導するIgGのサブクラス、IgG2aの産生が観察された。
また筋注投与マウス由来の脾臓T細胞はin vitroにおいてCryj1タンパクの存在下、IFN−γを産生したが、IL−4の産生は認められなかった。
BALB/cマウスにpCACJ1を投与した後にCryj1とアラムを投与した場合のCryj1特異的IgEの産生を調べた。100μgのpCACJ1を4回投与した群ではPBSを投与した、あるいはブランクベクターであるpCAGGSを投与したコントロール群に比較してCryj1特異的IgE産生の低下が認められた。
pCACG1をマウスに筋注投与した場合にはCryJ1特異的Th1細胞が誘導され、Cryj1特異的IgE産生が抑制されたと考えられる。上述の結果はスギ花粉症の予防および治療におけるDNAワクチンの有効性を示唆するものである。
遺伝子銃によるDNAワクチン投与はTh2型免疫応答の誘導
生理食塩水に溶解したDNAワクチンを筋肉あるいは皮内に投与する免疫法は、多量かつ頻回のDNAワクチン投与を必要とする。そこで学者らは遺伝子銃の使用を試みた。遺伝子銃とはDNAワクチンとなるプラスミドを金粒子に吸着させ、ヘリウムガス圧を噴射することによって加速する装置であり、少量のプラスミド投与により免疫応答が誘導できる。学者らはこの遺伝子銃を用いて上述のスギ花粉症のDNAワクチンをマウスに投与した。1μgのpCACG1を2回、マウス腹部の皮膚組織に投与することでCryj1特異的IgGの産生が誘導された。このとき誘導されたIgGのサブクラスはTh2細胞が誘導に関与するサブクラス、IgG1だった。
遺伝子銃免疫したマウス由来の脾臓T細胞はin vitroにおいてCryj1タンパクの存在下、IL−4を産生した。
また遺伝子銃免疫の場合にはアレルゲン特異的Th2細胞が優位に誘導されるため、IgE抗体産生はむしろ促進された。
この理由についてはよくわからないが、遺伝子銃の免疫システムでは、必要とするプラスミドは少量であるため、ISSの効果が得られにくいことが考えられる。
T細胞エピトープ遺伝子を組み込んだDNAワクチンアレルゲン遺伝子そのものを、プラスミドDNAに組み込むよりも、アレルゲン性のないアレルゲンのT細胞エピトープをプラスミドDNAに組み込んだDNAワクチンのほうがより安全性が高いと考えられる。学者らはインバリアント(Ii)鎖のCLIP領域をスギ花粉アレルゲンであるCryj2上のT細胞エピトープに相当するペプチドで、置換したIi変異体を発現するDNAワクチン(pCPCJ2)を作成した。Ii鎖はエンドソーム系への移行シグナルを有し、T細胞抗原ペプチドのMHCクラスU分子への付加に関与している。アレルギー副反応を誘導せずにアレルギーに対するTh1細胞の応答を特異的に誘導するDNAワクチンを構築するために、Ii遺伝子の作成を試みた。DNAワクチン(pCPCJ2)を筋注投与したBALB/cマウス由来の脾臓CD4陽性T細胞は、in vitroの存在下でこのペプチドに対して増殖応答およびIFN−γ産生応答を示した。あらかじめpCACJ2を筋注投与してCryj2とアラムで感作したマウスでは、Cryj2に対するigE抗体反応の抑制が認められた。さらにヒスタミン遊離反応の抑制も確認された。また、p238−249をC末端に融合したIi変異体を発現するDNAワクチン(pLiCJ2)を投与した場合も同様のT細胞誘導活性、IgE産生抑制活性およびヒスタミン遊離抑制活性がえられた。pCPJ2およびpIiCJ2の投与より、同程度のアレルゲン特異的T細胞、特にTh1細胞が誘導され、その結果、Th2型免疫反応の抑制が認められた。このT細胞エピトープ遺伝子を挿入したDNAワクチンは、より安全性の優れたワクチンであると考えられる。
CpG配列結合アレルゲンによるワクチン
ISSの効果は単鎖CpG−オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)でも得られる。一般にアジュバントとして用いられるCpG−ODNは、AACGTTなどのCpG配列を1ないし2つ含んだ20塩基前後のものである。ブタクサ花粉症において、CpG−ODNを用いた実験が米国で行われた。その実験ではブタクサ花粉の主要アレルゲンであるAmbalにCpG−ODNを結合させたワクチンを作成し、マウスに投与した。このときAmbalにCPG−ODNを結合させたワクチン投与群は、対照群に比較してAmbal特異的IgE抗体の産生を抑制することが確認された。またAmbalとCpG−ODNを混合して同時投与した群よりも高いAmbal特異的Th1細胞の応答を誘導していたと確認された。さらに、同じグループにおいて、AmbaiにCpG−ODNが付加されたヒト用のワクチンも作製された。現在、このブタクサ花粉症の治療用ワクチンを用いたヒトでの臨床試験も開始されている。すでに、新たなスギ花粉症の治療法の確立を目的として、スギ花粉症の治療的実験として、スギ花粉主要アレルゲンにCpG配列を含むODNを結合させたワクチンが作製されている。現在、このワクチンのマウスにおける投与実験が行われている。
次にアレルゲン免疫療法の現状と展望について説明する。
2 アレルゲン免疫療法の現状と展望
動向
アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患の原因となる抗原を少量から徐々に増量しながら、投与し抗原に対する免疫学的反応性を修復して治療的恩恵を得ることを目的とした治療法である。わが国では「減感作療法」とも呼ばれる。本療法はアレルギー性鼻炎やアトピー型気管支喘息などのアレルギー疾患をマネージメントしていく上で過去90年以上にわたり全世界で広く行われてきた。わが国では中等症以上のアレルギー性鼻炎、花粉症においてガイドラインで推奨する標準的治療法となっている。本療法は気管支喘息においても自然経過を修復することができる根治的な治療法として期待され、かつては多くの症例に導入されていた。しかし、吸入ステロイド薬を中心とした対症療法が革新的に進歩し喘息日常管理が容易となったことなどから本療法を導入する症例は激減した。本邦で免疫療法が行われなくなったその他の原因として喘息の代表的な原因アレルゲンであるダニの治療用純化アレルゲンがわが国で公的に認可されていないため、代替として家塵粗抗原を用いざるを得ないこともあげられる。また、アレルギー科の研修制度が確立されている米国などと異なり免疫療法に習熟した医師が少ないこと、したがって本療法の適応外と考えられる症例への無益な施行や効果のない低濃度抗原の投与など、正当に評価できない条件下で素行されてきたことも考えられる。関連して手技が煩雑であること、そして必ずしも劇的な効果は望めないこと、なども列挙される。近年欧米ではアレルゲン免疫療法の臨床研究が躍動的に進歩している。特に免疫療法のrisuku/benefit比が注目されこれを検討する臨床研究が報告されている。以下、気管支喘息における免疫療法の現状をまず、総括し近年の本療法の進歩と今後の展望について述べていく。
A 気管支喘息管理におけるアレルゲン免疫療法の現在の位置づけ
成人喘息患者は増加傾向にあるがその患者を診療するべき呼吸器内科、アレルギー科専門医は決して多いわけではない。したがって診療にあたる医師は多くの場合一般臨床医となる。臨床医が喘息を診療する際はGINA2002などのガイドラインに準拠して重症度を判断した上でアレルゲン回避を指示し、吸入ステロイド薬を中心とした薬物療法を行うのが一般的である。しかしながら、現在の薬物療法は喘息の基礎病態であるTh2細胞の病的活性化状態を根本から是正するものでないゆえに喘息を根治させるものではなく一定期間発作のない喘息患者に対しても「治癒した」とは宣言できないのが現状である。アレルゲン免疫療法は特異的抗原に対し不応答性を獲得させることが可能な唯一の積極的な治療法である。GINA2002おいて、免疫療法は吸入ステロイド薬と並んで成人に対する長期喘息管理薬の中にエビデンスレベルAで記述されている。免疫療法の役割はアレルギー性鼻炎を持つ患者で通常の薬物療法や特別な環境のコントロールが無効な場合あるいは患者が長期間の薬物療法を望まない場合にもっとも有効であるとされている。一方WHOの見解書において早期に免疫療法を行えば自然経過を修復しえることが示唆されている。そして、喘息症例における免疫療法の適応としては
(1) 一秒予測値が70%以上の重症ではない患者
(2) 症状がアレルゲン回避と薬物療法を行っても十分にはコントロールできない患者
(3) 鼻炎と気管支喘息の療法を持っている患者
(4) 長期の薬物療法を望まない患者
(5) 薬物療法で副作用が認められる患者
の五項目があげられる。
喘息における20件の二重盲検比較試験のメタ分析の結果、ダニに限定せずあらゆるアレルゲンによる免疫療法全体の解析からもオッズ比3,2で有意に喘息の自覚症状の改善が示された。また、免疫療法を行うことで、薬物減量効果、気道過敏性の改善効果も有意であることが検証されている。喘息における免疫療法においてダニが主たる治療標的となるが、本邦では使用可能な抗原はダニを主成分とする室内塵である。有効性を得るにはHD10倍希釈液の0,1mlが必要となる。しかし外来で漸増する古典的手法では皮膚副反応などにより容易に到達し得ないことが難点である。一方、急速免疫療法は入院管理下で注射を反復し数日間で維持量へ到達させる手法である。本法なら確実に完逐でき即効性もある。当院では短期入院のうえ、米国で用いられている純化ダニ抗原を10〜50AUの維持量に到達させて以降外来で継続していく方法をとっている。現在までにアナフラキシーショックを起こした症例はなく、少数例ではあるが完全寛解したと考えられる症例もある。また、導入4週間以内に喘息点数が減少し抗原特異的気道反応性が改善した。重症度のステップダウン獲得率は罹病期間10年未満、一秒率が70%以上、で高率であった。したがって免疫療法は器質的気道閉塞のないダニアレルギー性喘息において、特にガイドライン治療とされているアレルギー性鼻炎の合併例を中心にオプション治療としての意義があると考えられる。
B 免疫療法のメカニズム
アレルゲン免疫療法の作用機序として、従来から即時型アレルギーに関与する一部IgGサブクラス抗体、特にIgG4を増加させることによる。マスト細胞や好塩基球からのヒスタミン遊離の抑制作用などが報告されてきた。近年は特に免疫機構のバランスをTh2細胞優位からTh細胞系へ偏倚させることが最も有力な機序と考えられている。免疫療法がIL−4あるいは、IL−5などのTh2サイトカインの産生減弱、そしてIFN−γなどのTh1サイトカイン産生の修復とその結果とし好酸球浸潤の抑制を含むアレルギー性炎症に対する抑制にあると理解される。免疫療法はアレルギー性疾患の基礎に存在するTh2細胞の病的活性化状態そのものを治療標的とすることにより、疾患の自然経過を修復する可能性がある点で薬物療法とは異なった意義が期待しえると理解される。
なお、免疫療法は調節製T細胞の誘導を介してIL10産生を誘導して、Th1系およびTh2サイトカインを減弱させる作用もメカニズムのひとつとして、重要であることが示唆されている。しかし後述する、CpGモチーフ免疫療法はTh2からTh1への免疫学的偏倚を誘導するものの、IL−10産生については肯定的な成績は得られておらず、一方で臨床には効果的であるので、免疫療法による調節性T細胞誘導についてはその臨床効果との関連性が検証されねばならないだろう、と考えられる。
C 喘息における免疫療法の新規臨床検討
1 投与抗原の改良
aリボソーム内貯留化アレルゲン
実験者は吸入ステロイド療法を導入されていない軽症あるいは中毒症のダニアレルギー喘息を対象としてリボソーム内に含有させたダニ抗原を用いたアレルゲン免疫療法の二重盲検比較試験を行った。ダニ抗原群の46%の症例で、症状治療スコア60%以上改善が認められたのに対し、対象群での有効例は12%のみであり、両群間で有意差を認めた。また、ダニ抗原群では皮膚反応閾値と吸入誘発閾値の有意な改善も認め、特異的IgG4抗体の上昇も見られた。全身性副反応として、ダニ抗原群29名中2名で即時型の喘息発作を5名で遅発型の喘息発作を認めた。リボソームは全体に投与可能であり、免疫学的アジュバントとして作用し、Th1反応の誘導かつ抗原提示細胞への集積を更新させる作用が指摘されており、今後の臨床応用に期待がもてる。
b 免疫刺激性DNAシークエンスの応用
Ragweed花粉抗原AmbaI免疫刺激性DNAシークエンスいわゆるCpGモチーフをコンジュゲートさせた、いわゆるCpGモチーフをコンジュゲートさせたアレルゲン免疫療法であるAICはすでにマウスでTh1反応を誘導し、かつアレルゲン過敏反応を減弱することが示されていた。Tulikらragweed花粉症患者をAIC投与群とプラシボ群とに大別し花粉飛散期直前にAICを6回投与し、AICによる免疫療法の効果を検討した。重篤な副作用は認められず、耐用性は良好であった。AIC群では鼻腔内アレルゲン投与に伴うIL−4産生細胞の増加がブロックされ、さらにプラシボ群では見られないIFN−γ産生細胞の増加所見がみられた。
この結果は本免疫療法によりTh2系からTh1系への免疫学的偏倚が成立したことを証明すると考えられる。花粉飛散期にプラシボ群では鼻炎や喘息症状が現れたのに対しAIC群ではこれらが有意に抑制された。この研究は動物モデルでは早くからその有効性が指摘されていた免疫刺激性DNAシークエンスによる免疫療法がヒトでも安全に施行でき、かつ有効であることを示した点できわめて重要な報告であると考えられる。なお、前述のように、本免疫療法が調節性T細胞あるいはIL−10産生について誘導効果を示したとの成績は現在まで得られていない。
2 免疫療法の早期介入導入
気管支喘息では基礎病態である、アレルギー性気道炎症を放置すると気道のリモデリングが進行してゆくと考えられる。すると、可逆性の乏しい気道過敏性が成立して非アレルギー性機序による種々の刺激によっても気道収縮が誘導されることになり、アレルギー性機序に対する治療であるアレルゲン免疫療法の意義は少なくなると推定される。学者らも、ダニアレルギー喘息における急速免疫療法の効果は罹病期間が10年を超える様な症例や気質的気道閉塞を有する症例では劣ることを観察している。すなわち免疫療法は早期介入的に患者に導入されることでより効果的となることが想定される。学者らは6歳から14歳の花粉アレルギーによる鼻炎患児151例を当該花粉によるアレルゲン免疫療法施行群と経過観察群とに大別にて喘息発症に対する意義を検証した。花粉飛散期の非特異的気道過敏性の上昇は免疫療法群でのみ、有意な改善がみられた。3年間の観察期のあと対象群では72名中32名で喘息を発症したのに対し、免疫療法施行群への喘息発症は72名中19名であり、優位に低率であった。
この研究は小児領域のアレルギー性鼻炎患者における免疫療法の施行が喘息発症予防効果を示唆した最初の報告としての意義があると考えられる。
3 ガイドライン治療への追加効果
国際ガイドラインであるGINA2002の中でアレルゲン免疫療法の適応症例は環境での厳格な隔離や吸入ステロイドを含む薬物療法を行っても発作をコントロールできない喘息患者とされているが、学者らは、軽症から中等症のダニアレルギー喘息患者を対象にGINA2002に基づいた薬物療法へのダニ免疫療法の追加効果を検証した。免疫療法群ではダニ即時皮内反応が部分的に減弱するとともに、β2刺激吸入頓用回数および朝のピークフローの改善が見られたという報告がある。
吸入ステロイド薬などの標準治療を施行した上でもアレルゲン曝露がピークフローの低下やβ2刺激薬使用に寄与していることが推察される結果であった。しかし吸入ステロイドの資料量、喘息スコア、メタコリン気道過敏性についてはプラシボ群との有意差が見られなかった。したがって、免疫療法の効果は有意ながらも限定的なものであり、確立された現在のガイドライン薬物治療に追加する意義が指示されたとは断定しがたい成績と思われる。免疫療法と吸入ステロイド療法の抗喘息効果についての直接比較の臨床研究は重要な命題であると思われるものの、現在までに行われていない。
4 抗IgG抗体との作用療法
重症アトピー型喘息などに用いられる新規生物製剤である抗IgE抗体療法は主としてTh1/Th2インバランスの是正に介入することが認識されるアレルゲン免疫療法とは作用機序が異なると考えられる。学者らはbirchあるいはgrassによる花粉症のアレルギー性鼻炎患者を対象として免疫療法単独療法と抗IgE抗体単独療法、そしてこれら両者の併用用法の比較研究を行った。Grass抗原暴露時の症状治療スコアの減少は、免疫療法単独群で平均32%、抗IgE抗体単独群で45%、両者併用群で71%であり、抗IgE抗体療法は免疫療法に相対的であることが示された。Birch抗原曝露の場合は免疫療法単独では有意な効果を認めなったが、抗IgE抗体で39%、併用療法で48%の症状治療スコア減少を認めた。抗IgE抗体と免疫療法の併用治療の有用性に期待をもてる結果であった。現在も米国などにおいて各種アレルギー疾患における抗IgE抗体と免疫療法の併用についての臨床試験が進行中である。
5 舌下免疫療法
免疫療法の重篤な副作用にアナフラキシーショックがある。この回避を主旨として皮下注射以外の抗原投与ルートの改良が試みられてきた。投与法として経口投与、鼻腔内投与、気管内投与などがあるが、欧米では舌下投与による免疫療法の研究が盛んである。アレルギー性鼻炎症例における有効性を示す報告が先行したが研究により、ダニアレルギー喘息症例においても安全に施行でき、かつ症状スコアや気道過敏性を改善させることが示された。さらに学者らはシラカバ花粉飛散期に鼻炎および喘息症状を呈する成人患者を対象として、薬物治療のみ群と薬物治療に舌下免疫療法を加えた群に無作為割付けし4年間の臨床前向き検討を行った。舌下免疫療法を行った群で2〜3年後の時点で1秒量、25%努力肺活量、気道過敏性の改善を認め、臨床的有効性を示す結果であった。しかし、舌下免疫療法で認められる様な、治療中止後の効果の持続作用は確認されていない。また、わが国では本投与ルートによる臨床検討がまったく行われていないのが、現状である。
D 喘息治療における免疫療法の今後の展望
喘息症例を管理していく上で、アレルゲン免疫療法が臨床上有効であるかについて、欧米では新規臨床研究が飛躍的に進歩している。上述した免疫療法の近年の研究成果のうち、喘息におけるGINAガイドラインへの追加効果が有意であるが限定的であったことはステロイド吸入療法を中心とした現在の強力な対症薬物に追加する手法としては限界であることを示唆し治療用アレルゲンの改良、あるいは薬物療法への追加以外の用い方を考慮することの必要性を示している。アレルゲン改良について、リボソーム貯留化アレルゲンは、ダニアレルギー喘息の治療として理論的に有効であるが、今後、従来の粗抗原注射と比較して安全性と効果の優越性があるか否かを正当に評価していく必要がある。一方、免疫刺激性DNAシークエンスをコンジュゲートさせたアレルゲンについては、花粉症のある喘息症例で確認された安全性と効果を考慮すれば、近未来的にダニアレルギー性免疫においてもきわめて有力な治療手段となる可能性がある。一方薬物両方への追加以外の投与法の点から検討すると、免疫療法の鼻炎児童における喘息の発症予防効果が、喘息の初期介入的用法として有用であることが示唆され、臨床的に期待してよい結果であると考えられる。これは現在のわが国の臨床現場においても実施可能である。すなわち、スギ花粉症の免疫療法用アレルゲンはすでに標準化されており、これを用いた免疫両方が喘息発症の阻害効果をもたらすか否かは興味深い。また、今後国内でも遂行することができることを念頭において、吸入ステロイド薬との比較や吸入ステロイド減量効果の検討を含めた喘息発作直後における本療法の早期介入的意義を評価した臨床研究が望まれる。さらに、抗IgE抗体との作用療法についても本薬が認可されれば、有用な治療法になると思われる。吸入ステロイド薬を含む薬物療法はあくまでも対症療法であって、根本から気管支喘息を根治させるものではない。一方免疫療法は病態の基礎にあるTh2病的活性化を含む免疫学的偏僚倚を治療標的とするものであるので、新規臨床アプローチがより洗練されて実用化されれば、本療法は喘息の自然経過を修復する目的における治療オプションとして再検討され、そのポジションが明確となると思われる。免疫療法が喘息治療法として再興することに期待できると思われる。
4 考察
ヒトの塩基配列を調べることで、肥満や花粉症、その他の様々な病気をより確実に治せるということが分かった。まだ、問題点はあるのでそれらは改善すべきだが、改善されれば、今後の医学の発展に、より期待できると思う。これは、オーダーメード医療の進歩にもつながるだろう。
5 まとめ
1の「はじめに」に記した様に私は花粉症で、現在花粉症に絶対的に効くという特効薬はないが、上記した様にオーダーメード医療により完治したらいいと思う。今回のレポートを書いたことで、様々な免疫療法についての知識が得られた。このことをもとにして医師になったら、遺伝子治療も含めて、患者さんのために、オーダーメード医療をより有効に使い、多くの命を救っていきたいと思う。