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1、
2、 はじめに
私はこのレポートを作成するにあたって最初は「こんな超大作はたして自分に作れるのだろうか?」とナイーブになっていました。しかし図書館でどの論文にしようか選んでいるうちに書庫の広さにも感銘を受けましたが「なんか医者っぽいことしてるな」と意欲がわいてきました。論文を読んでいるうちに今まで学習してきた知識で理解できるもの、興味をもって読めるものもあり「これはいける」とあとは完成に向けてひたすら突き進むのでした。
3、 選んだキーワード
「中毒と心筋」
このキーワードを選んだ理由は2つあり、1つは最近病理学で心筋の病気について学習したことが生かせるのではないかと思い、2つめの理由としては自分が生後10ヶ月の時に川崎病の疑いで入院していたことがあり心臓系に興味があったからです。
4、 選んだ論文
「覚醒剤中毒による心筋障害」 綾部 征司 大野 実 永井 良三
・ 日本における覚醒剤の使用は1941年のヒロポン販売に始まり、第2次世界大戦時には、軍需工場労働者、兵士が服用したと言われる。1954年には第1次乱用期が起こり、5万5000人が検挙された。現代では未成年者にも乱用が広がり、第3次覚醒剤乱用期といわれ、2000年度の警察白書によると検挙数25193件・押収量10269kgとされている。この論文では今後増加が予想される覚醒剤に伴う心血管系合併症を述べている。
「マムシ咬傷死亡例」 行徳 貴志 加口 敦士 清井 起鴨 中村 徳志 進 洋子
木村 達 西村 和夫 小野 友道
・ 症例は70歳の女性。マムシ咬傷後、マムシ毒の直接作用、およびDICとその合併症に
よって死亡した1例を報告した。初診34時間後、咬傷側上肢全体の腫脹、乏尿、低体温にて救急救命センターを受診した。抗毒素血清療法、セファラチン療法、透析および血漿交換療法などの加療を施行するも、第8病日に死亡した。剖検の結果、死因はマムシ毒がDICを惹起し、腸管の穿孔、それによる腹膜炎からの敗血症を発症したことに加え、肺炎による呼吸不全となり、かつマムシ毒の直接作用による肝、心筋、腎尿細菅などの出血、壊死などによる多臓器不全と考えを述べている。
5、 考察
・ 今回、このレポートを作成するにあたってビデオ、論文を見てきました。私の選んだ論文は水俣病とは関係がない内容でしたが、「中毒」という点で共通しています。そしてその中毒が病気を引き起こしているのです。そもそも毒というものは何なのか?漠然と考えてみました。ふぐ毒、パラコート、たばこ、アルコール、生活する中で身近なものからそうでないものまでこの世は毒であふれています。では毒でないものは何なのか?水や赤リンはかならずしも毒にならないのか?いやそれはちがう、人体にとって毒になるか否かは摂取する用量によって決まるのだ、と思います。
・ 薬ひとつでも将来、自分が医師として患者さんに処方する時にはその患者さんにあった用量を適確にしなければならない。それだけでなく水俣病のように最初原因がわからないものに対しては、その患者さんのバックグラウンドもみなければならない。「覚醒剤による心筋障害」に最近、覚醒剤の摂取方が静脈注射から加熱吸引法や錠剤、液剤が乱用されているらしく、身体所見上注射跡などで判別されず診察時にもきつかれない可能性がある。と書かれており終わりの方で、原因不明な心筋障害の際には薬物・健康食品を念入りに聴取する必要がある。とその必要性をうったえていました。覚醒剤中毒の場合にはその患者さん個人から聴取すればいい場合が多いと思われますが、水俣病の場合ではその患者さん個人だけでなく、もっと多きな背景を見つめなければなりません。そうなるとその患者の主治医だけでは調査できない、厚生省や保健所に動いてもらうほかないとおもいます。そう考えると将来医師になると一言で言っても、外科にいく、内科にいくだけの選択肢だけではないんだなと考えさせられました。
・ 1つ疑問に思ったことがあります。覚醒剤中毒による心筋障害のレポートで、心筋症の発症について拡張型心筋症と肥大型心筋症にはなり得るのに、なぜ拘束型心筋症にはならないのか、というものでした。
自分なりに今の知識で推測してみると、拡張型心筋症と肥大型心筋症は心筋の実質、つまりは筋層における病変であるのに対して、拘束型心筋症は心外膜における病変であるため、心外膜は単層扁平上皮であり、循環器系、呼吸器系からの影響を受けにくいのではないか、と思いました。これに対して心筋には血管が多く通っており、血管からの影響を大変うけやすいのではないか、と考察しました。
6、 終わりに
・ 今回、私の選んだキーワードは「中毒と心筋」でした。選んだ論文はあまり水俣病とは関連させることはできませんでしたが、覚醒剤は恐ろしいものだと学習することができました。水俣病のビデオは、病気のことと言うより「水俣病と行政」といった感じでした。
そのような観点から見ると、ハンセン病も似たようなものであると思います。いつの時代でも、弱者が不当な扱いを受けていると思います。正義とは何なのか?上に立てば正義なのか?確かに地球上において人間は他の生物の上に立ち、森林を伐採し、ある種の動物を絶滅に追い込んできました。その傍らで、地球にやさしくなどと言っていますが、私は人間が絶滅しない限り、本当の意味での地球の自然は保たれないと思います。結局、人間は人間の便利なようにこれからもしていくのですから。
少し話が飛躍しすぎましたが、医師というものは常に考え、勉強し、2度と病気に対する差別を生むような事態を引き起こさないように努力すべきであると、このレポートを通して、強く感じました。
最後になりましたが、今回、このように1つのことに対して、さまざまな方向から考えをめぐらせることの大切さ、必要性を痛感させていただく機会を与えてくださったことに、大変感謝しています。
この経験をもとにして、これから医師を目指す道のりでさまざまな事態に遭遇したとしても、それを一方面からのみ見るのではなく、多方面から思考していきたいと思います。
ありがとうございました。
レポートのデータが途中で2回消えてしまい、焦って書いたため、誤字・脱字のチェックがあまり出来ていません。ご了承ください。