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水俣病は、工場廃水中のメチル水銀に汚染された魚や貝などをたくさん食べる事によって起こったメチル水銀中毒です。
被害が広がったのは、加害企業のチッソが無機水銀を垂れ流したのに加え、行政が水俣湾での漁獲禁止や工場の排水規制など必要な措置をとらなかったためだと言われています。
患者が国と熊本県とチッソの三社を相手取り、起こした損害賠償訴訟は複雑化しています。
これは水俣病の認定制度が定まらなかった上に、伝染病や奇病だという無理解やいわれのない差別が存在し、患者自身も名乗り出る者が少なく、解決を遅らせる大きな要因となりました。
患者は身体的被害だけでなく差別という社会的被害も受けている訳です。
この事はハンセン氏病にも共通する悲劇であり、二度と繰り返してはならないと思います。
また水俣病は、生命の源である「水」「食べ物」がいかに大切であるかを教えてくれました。
私たちは豊かで便利な暮らしを得るために、ある時期どんどん環境破壊を進めてきました。
そして今、排気ガス、農薬、食品添加物などさまざまな有害物質が私たちの健康を脅かしています。水俣病は私たちが被害者であると同時に、加害者である事を教えてくれています。
物質的な豊かさを求め、自然とのつながりを壊していった時に犠牲になった人々の事を忘れず、この水俣病の残した教訓を心に重くとめ、環境、社会、医療に生かすことが私たちの努めであると思います。