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水俣病に関するビデオを見て

 

2005年度の最初の予防と健康の講義で水俣病に関するNHKスペシャルのビデオを見た。去年の最初の授業で大槻先生がヒップホップを聞きながらノリノリだったので今年もそうなのかなと思ったが、良い曲が見つからなかったということでビデオになったらしい。

 さてビデオの内容についてであるが、まずは原告側である水俣病患者達が国・地方自治体を相手取り行われた裁判に勝訴したという話から始まった。たしかにこの話は僕も講義やニュースで聞いたことがある。場面は環境省と原告団の交渉の場面に移行した。よくニュースとかで見るありがちな場面で、声を荒げる原告側の人と、それに必死に対応する環境省の役人の映像だった。しかしながら見ていると変なことに気がついた。役人は原告団に向かって、あなたたちは水俣病患者とは認められないというようなことを言っているのである。僕は知らなかったのだが、どうやら公害の被害で国・地方自治体から補償を受けるためには「国・地方自治体の」認定をされる必要があるらしい。まあ補償を受ける人が水俣病患者であるかどうか見極める必要があるのは理解できるが、補償をうけるには国・自治体が決めた基準に当てはまっていないといけないのである。しかしながらこの基準に問題がある。この基準は52年基準と呼ばれており、この内容は求心性視野狭窄、小脳運動失調、構音障害が揃わないと認定しないのである。水俣病では感覚障害が目立ち、これらが揃うのは少なかった。そのため、医師から水俣病と診断されても補償を受けられない場合が多かったというわけなのだ。しかもこの基準は科学的に誤りとされているにもかかわらず、国はこの基準を変えようとしない。このため交渉が平行線をたどっているのである。1995年に水俣病患者と認定されるための活動をやめるのと引き換えに一時金260万円を支払うという政治決着が図られたが、解決にはなっていないと思う。

本はといえば当時の厚生省が公害の原因をメチル水銀の慢性中毒と認めなかったために被害が拡大したのである。国・自治体はすぐにでも基準を作り直し、水俣病患者の補償を拡大すべだと思う。