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4月5日の授業中に水俣病に関するビデオを見せていただきました。私は水俣病について以前から多少知っているつもりでしたが、まさかこれほどまで現在もなお論争され続けている病気だとは知りませんでした。
このビデオの中で水俣病患者の人々の訴えは、平成7年に政府の出した和解策に納得がいかず、自分達を水俣病患者だと行政に認めてほしいということでした。この政府が出した和解策とは、「認定を認める訴訟を起こさないことを条件に260万円の救済措置を取る」というものでした。もし水俣病患者と認めてもらえれば1600万円受け取れるのだから原告側にとっては納得のいかないものでした。しかし、今回訴訟を起こした関西の原告団以外の人々はみなさんこの和解策しかたなく受け入れています。ここで、問題として浮き上がってくるのが医者に認めてもらうのではなく、行政に認めてもらわなければいけないという事で、診断決定に町医者の意見はただ参考意見でしかないということです。行政は水俣病患者だと認めれば1600万円の保障を払わなければならないので認定するのに非常に慎重になっています。また、最近では行政が認定するときに用いる認定審査の基準が科学的に適していないのではないのかと言われています。
また、水俣病の被害がこれほどまで広がったのには理由があります。それは、昭和31年に初めての水俣病患者が見つかり、しばらくして工場廃水の中に含まれている水銀におかされている魚が原因ではないかとささやかれ、食品衛生法による漁獲禁止令の発動を要求しましたが厚生省は「すべての魚が水銀によっておかされているとは限らない」と要求を認めませんでした。よって魚は食べられ続けられ、被害が拡大していったのです。また、他の理由は、水俣病の原因が工場廃水だと分かってから、その対策として工場側がサイクレーターという機械で水銀を除去するという提案をしましたが、実はそのサイクレーターの設計の段階からサイクレーターで水銀が除去できないと分かっていたなどということがあり、ますます水俣病の被害が広がって行ったのです。
このようにして、何度も水俣病の被害の拡大を阻止する手段があったのですが、それが出来ず被害が拡大してしまったのです。このような被害を出した一番の責任はもちろん工場廃水をきちんと処理しなかった工場側にあるのですが、その後の被害の拡大を阻止できなかった政府にも十分責任があると思います。ですから、訴訟を起こしている水俣病患者の人々など、政府に対する不満を持っている人々に対する適切な対応をきちんと考えなければならないのではないかと思いました