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◎水俣病


1、歴史

1956年に熊本大学の研究グループが、水俣病を新日本窒素水俣工場の排水が原因と発表した。
工場排水や水俣湾の魚介類からは多種類の有毒物質が検出されて、水俣病の原因物質を有機水銀と特定するのは困難であった。
マンガン・タリウム・セレンなどが疑われたが、これらの毒性と水俣病の症状とが完全には合致しなかった。

1959年、有機水銀が新たな原因物質と疑われた、水俣工場原因説を否定するため、日本化学工業協会専務理事と、水俣工場でアセトアルデヒドの製造法を確立した橋本水俣市長が、爆薬投棄説を言い出した。
佐世保に大量に保管していた日本海軍の爆薬を、終戦時に水俣湾に捨てたが、その爆薬から海水に有毒化学物質が溶けだしたと考えたのであった。この爆薬説は、GHQの命令で爆薬を廃棄した当事者が名乗り出て、否定された。

同じ時期に、水俣工場からの水銀原因説を否定する目的で、東工大清浦教授がアミン系毒物中毒説を主張し、マスコミで大いに注目された。腐った魚にはアミンができるが、それを食べた者が中毒を起こして水俣病を発症した、とみなしたのであった。


2、病状

 体内に入ったメチル水銀は、血液脳関門を通過するので、主に脳など神経系を侵し、手足のしびれ、ふるえ、脱力、耳鳴り、目に見える範囲が狭くなる、耳が聞こえにくい、言葉がはっきりしない、動きがぎこちなくなるなど様々な症状を引きおこします。水俣病の発生初期には、狂ったような状態や意識不明になって、死ぬこともありました。
また、見た目にはわからなくても、頭痛や疲れやすい、においや味がわかりにくい、物忘わすれがひどいなどの症状で、日常の暮らしに困る慢性型の患者もいます。
 先生が授業でおっしゃられた寸尺異常は小脳、視野狭窄は後頭葉の視覚野の蓄積障害。



◎食品衛生法
 
 目的:飲食に起因する衛生上の危害を発生を予防し、国民の健康の保護を図ること。
 
 水俣病との関連:
[中毒に関する届け出、調査及び報告]
1、食品、添加物、器具もしくは容器包装に起因して中毒した患者もしくはその疑いのある者を診断し、またはその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。(編者注記→届け出なければ懲役半年か、罰金刑の罰則付き)

2、保健所長は、前項の届け出を受けたときは、政令の定めるところにより、調査し、かつ、都道府県知事に報告しなければならない。

3、都道府県知事は、前項による報告を受けたときは、政令の定めるところにより、厚生大臣に報告しなければならない。

上記を使い食中毒として扱うことにより、迅速に漁獲を中止できると思っていた。



◎感想
 水俣病の補償金に差があることに衝撃を覚えました。ただでさえ認定の判定基準があやふやで保険適応外なのに!と思いました。行政から出た医師の気持ちに共感を覚えたのと、私が将来医師になったとき支援者になるかもしれないと考えたとき、しっかりした知識が必要だと感じました。