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今まで水俣病は、小学校の頃から教科書で目にする4大公害病の1つであるというふうにしか私は思っていませんでした。そのため、昔に起こった公害病の1つだから、水俣病の問題はとうの昔に解決したものだと勝手に思っていました。しかし、4月5日の『不信の連鎖〜俣病は終わらない〜』というドキュメンタリー番組を見て全然違うということが分かりました。私は水俣病の問題は実際のところまだ解決していなかったということに一番驚きました。このビデオでは、当時八代海沿岸に住み水俣病になった患者と国との問題が、半世紀ほどたった現在でも解決していない現状が描かれていました。また、ビデオの中では、医師が水俣病であると認定しているというのにもかかわらず、熊本県に認定申請をしても水俣病だと認定されない患者が数多くいるということが言われていました。実際、2万人もの人が申請をしたにもかかわらず、たった2300人だけの人しか熊本県から水俣病であると認定されなかったということです。国や県が水俣病だと認定しないその理由が、昭和52年に作られた水俣病の判断基準である4つの項目にあるというのです。その4つの項目の内、2つに当てはまらないと認定することができないというのが国の意見でした。しかし、水俣病患者を診察した医師によれば、水俣病患者は軽度の人から重度の人さまざまにおり、その症状は一人一人によってかなり異なってくるということなのです。そうなると、そのS52判断基準で認定されるのは重度であるごく一部の人だけとなってしまうのです。だから、認定されるのは医師が水俣病だと診断した患者の全体の1割ぐらいの人となるのです。しかも、もし県によって水俣病であると認定されれば補償金として1600万〜1800万円が患者に支給されますが、認定されなければ一生医療費は自己負担なのです。そして、たとえ医師によって水俣病であると認定されても、県によって水俣病であると認定されなければ、その治療費は保険がきかないため全額自己負担となり患者の負担はますます増えるばかりなのです。医師が水俣病であると認定している患者がいるのにもかかわらず、なぜ国や県によって水俣病であると認定されないのか?私はこのビデオを見ている間ずっと思っていました。国や県は自分たちが作ったS52判断基準が間違えていたということを、自分たちのプライドのために認めたくなかったからなのか、と感じました。

もともとチッソが有機水銀を海へたれ流したために起こった水俣病。その海の魚を食べた水俣病患者は単なる犠牲者です。それなのに、水俣病患者は世間の人々から風土病であると思われさまざまな差別を今まで受けてきたのです。また、国や県に水俣病であると認定してもらうために裁判を起こせば、世間の人々に水俣病患者はただの補償金欲しさのためにそんなことをしているのだという中傷が起こったりすることもありました。これは、水俣病にかかったという苦しみに加えて、患者やその家族にさらなる苦しみを与えたことだと思います。しかも、国と県は水俣病を防ぐチャンスは何度でもあったはずなのにその機会を逃し何もしなかったのです。そのために、こんなにも多くの人々に水俣病を広げてしまったことの責任を国や県はとるべきだと私は強く感じました。最後に、今回の水俣病のビデオを見たり、インターネットで水俣病について調べることでいろいろなことを感じたり考えました。水俣病によって、どれだけ多くの人が苦しみ涙を流してきたのだろうと思います。そして、水俣病によって失われた命や健康を取り戻すことはもうできません。しかし、今後、行政や企業は素直に反省し被害者の救済に取り組むことはできるはずです。私たちは、二度と同じ過ちを起こさないように水俣病の教訓を今後の公害の問題に生かしていくことが大切だと思いました。