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私は今まで、水俣病は遠い昔の公害病で、今でもそれに苦しめられている人々がいるとは思ってもみませんでした。なぜ、人々は水俣病に苦しめ続けられているのでしょうか?少し調べた結果、私はそれには大きく三つの理由があると考えました。
一つ目は、水俣病になった人の体の不自由な点だと考えました。主な症状としては、手足のしびれや、ふるえです。また、痛覚も鈍くなります。これらの症状は脳や神経細胞が破壊されているため起きます。症状の程度には個人差があり、どんな症状があるかも一人一人違います。外見では患者さんだとよくわからなくても、今も水俣病の症状で苦しんでいる人達がたくさんいます。
二つ目は、水俣病に対する偏見だと考えました。水俣病患者が増えた当初、患者は伝染病や奇病と誤解されて怖がられ、差別を受けました。原因となる、チッソに味方しようと患者を敵にみる雰囲気があったのも事実です。また、市民でもある患者の苦しみを目の前にしながら、充分に役割を果たしていなかった行政の責任もあり、患者とそうでない市民の対立など水俣の街は混乱し、人間関係まで壊れてしまいました。さらに、伝染病や風土病と誤解され、就職や結婚がだめになるなど、水俣の市民に対する市外の人からの差別もありました。このことによる、水俣病患者の精神的な苦痛ははかりしれないものだろうと思います。
三つ目は、水俣病の認定基準の厳しさだと考えました。環境庁が発表した「後天性水俣病の認定基準」では、水俣病に多発する症状、すなわち
(1)感覚障害(2)運動失調(3)平衡機能障害(4)求心性視野狭窄(5)中枢性眼科障害(6)中枢性聴力障害(7)その他
――のうち、複数の組み合わせがないと水俣病とは認定されないことになっています。この国の認定基準により、医者に水俣病と判断されても、国には認められず補償金をもらえずに、苦しんでいる患者さんは今でもたくさんいると思います。
以上、この三つの理由により水俣病患者は苦しめられてきたと考えました。
私は、水俣病について調べていくうちに国に対するいらだちを感じました。苦しんでいる人達をなぜ助けてあげないのだろう。医師の診断をもっと信じるべきだと思いました。私は、これから国と水俣病患者と腹を割って話せる日を望みます。