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概要
水俣病の原因物質は有機水銀である。1930年代チッソが無処理のメチル水銀を水俣湾に排出、湾内の魚介類で濃縮され、沿岸住民がその魚介類を食べて有機水銀中毒になった。水俣病の臨床症状には知覚障害、運動障害、聴覚障害などがある。患者によっていくつかの症状の組み合わせがあり、年齢病歴によって症状が大きく異なる。
県の検診と審査会の書類審査を経てはじめて水俣病患者と認定される。水俣病と認定されると医療費や慰謝料などが原因企業から支払われるが、認定されなければ治療費などは患者の全額負担となる。
患者らは食品衛生法の適用などにより水俣病は防ぐ事ができたはずだと国や県に責任を求めた。水俣病関連の裁判には、
@被害者がちっそに損害賠償や医療費などを請求した民事訴訟
A被害者が国、県に早急な被害認定を求めた行政訴訟
Bチッソの元幹部の水俣病発生責任などを問う刑事訴訟
がある。80年代に入ると行政に認定されず水俣病と認められなかった患者が次々と裁判をおこした。裁判闘争は長期にわたり国が妥協案を提示、患者は救済金を受け取る代わりに水俣病患者と認定されることをあきらめた。
これにより患者は4種類存在することとなった。
@行政に認定された患者1600万〜1800万円の補償 約2300人
A行政に認定されずに、裁判で認められた患者 約50人
B行政に認定されなかったが260万円の一時金などを受け取り救済された患者約1万人
Cまったく救済を受けられず埋もれている潜在患者 人数不明
関西在住の原告団はこれを拒否し、チッソと国と熊本県を相手に損害賠償請求訴訟「チッソ水俣病関西訴訟」を起こし、勝訴した。
国は責任は認めたが判断基準の見直しは行わなかった。患者側は判断基準の見直しを求めての裁判も起こし、結果科学的に誤りだと証明された。
感想
番組をみてまず問題だと思ったのは、水俣病と認定するのが医師ではなく知事(つまり行政)だということだ。医学的知識がない人間が書類をみて、なにを根拠に水俣病であるかないかを判断しているのだろう。行政の人間が認定を行うという事は故意に国、県に都合のいいよう判断されてしまう。また認定するにあたって診断基準とよばれるものがあるが、昭和52年に定められたものであり、この基準は科学的にも誤りだと証明されている。
このままの診断基準では重度の患者しか水俣病患者と認定されない。患者によって症状は様々であり、どの人も水俣病患者として補償を受けるのが当然だと思う。水俣病を軽度なものから重度なものに数段階にわけ、それに応じた補償を与えればよいのではないか。そうすれば今のように患者と認める認めないで裁判で争うこともなくなるのではないか。「責任は認めるが判断基準は見直さない。」という行政側を理不尽だと感じた。
参考文献
http://www.nhk.or.fp/special
http://www.d4.dion.ne.jp