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    水俣病のビデオを見て  

今回このビデオを見て、関西に移住した水俣病未認定患者とその遺族が原因企業チッソ・国・熊本県を被告に損害賠償を求めた「水俣病関西訴訟」があったことを初めて知った。


水俣病の原因物質はメチル水銀で、チッソ水俣工場がアセトアルデヒドの生産を開始し、メチル水銀を水俣湾に排出し、それが湾内の魚介類で濃縮され、沿岸住民がその魚介類を食べて有機水銀中毒になったものを水俣病という。

そこで問題になったのが、水俣病と認定する基準だ。

町医者がいくら水俣病であると診断しても、参考程度としかとられず、行政の認定が必要ということだ。

水俣病は健康保健が効かず、全額自己負担であるため、水俣病と認定された2300人の人には1600〜1800万円の補償金を払い、否認定患者1万人には政治決着で一時金260万円を払った。

今回の提訴目的は

1)水俣病を発生させ、被害の救済を放置し、切り捨てた国・熊本県・チッソの責任を法的に明らかにすること、
2)原告患者を水俣病と認めさせること、
3)原告患者が、蒙ってきた健康被害をはじめとするさまざまな被害の償いを求めること

である。

ビデオにもあったように、原告団と環境省の幹部達は激しい争いをしていた。それもそのはず、最高裁判決が国・県の行政責任を認めた後も追加補償や病像の見直しなどについても新たな対策は考えていないと言うのだ。水俣病の対策自体、被害者のためのものとは考え難く、国が言い逃れをし続けてきた結果が現われていると思う。

患者達は長い間差別を受け、身体的にも精神的にも苦しみ続けていたのに、その仕打ちはないであろうと思う。

国も補償金目当てのニセ患者であると発言したりと、差別を繰り返していた。

それなのに真摯に反省するとのコメントを繰り返すばかりで、行動には移さないのである。現状を把握しようとしない国側。

反省の色が伺えないのである。逃げずに事実を認め、受け止め、まず必要なのは心からの謝罪であると思う。患者達は何も悪くないのに、自分達の必死の訴えが通じない苦しみはいかなるものなのか。

今回水俣病について勉強してみて、公害問題は、責任問題がひとつに絞りにくく、複数存在するため難しいと思う。

また原因を突き止めるのにも時間がかかるし、その間に被害は広がってしまう。

また今回のように国の責任逃れから紛争状態が何十年も続くこともある。

今回の水俣病の裁判紛争を教訓に二度とこのような問題が起こらないようにしなければならないと思う。

国側も誠意をもってこれから起こるであろうさまざまな事柄に対応し、国民にこのような報われない思いは二度とさせてはならないと思う。