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 今回観賞したビデオは裁判所に水俣病と認定されたが政府に賠償金をはらってもらえない患者の立場からみた水俣病の話でした。

 水俣病は保険の対象ではなく、治療に多額の費用がかかります。公害の元となった会社チッソと政府は昭和52年、52年判断条件にもとづき、これにあてはまる患者に補償金を支払いました。この52年判断条件が、政府が認める水俣病患者とそうでない患者に分けました。認められなかった患者の一部が訴訟を起こし、長く争っていましたが、最終的に国が間に入り政治決着としてこれ以上争わないことを条件に賠償金を受け取りました。

すると他の患者が『自分たちも患者と認めてほしい』と政府を相手に裁判を起こしました。この裁判に患者側が勝訴し、政府は責任を認めることになりました。しかし政府側は52年条件を裁判で否定されなかったことを理由に責任は認めるが補償金は払えない、と言ってきました。

私は今回のビデオを観賞したとき、初めはなぜ政府側は患者と認めないのかと思いました。しかし想定される潜在患者の数が2万人いる、という内容を見ると補償金を払う患者をあるラインで決めるのは現実的に仕方がないと思いました。確かに医学的に水俣病と診断される患者に補償金を受け取れないことは問題です。しかし、症状の現れ方は人によって様々で、症状の重さごとに補償金を支払うことが困難を極めるのは用意に想像できます。 私は今回のビデオ観賞で、すべての患者やそれを名乗る人に補償金を払えない以上、より症状が重いと思われる人から支払った、という当時の政府の対応はやむをえないと感じました。

もちろん実際の患者に補償金が支払われないのは大きな問題です。しかし、今回観賞した中では症状があるのに補償金をもらえない患者の怒りばかりがクローズアップされていたので、政府の支払えない事情なども知りたかったです。