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【はじめに】
 今回私は水俣病について授業でのビデオや、2つのキーワードからの2つの論文に基づいて感じたことを述べようと思う。ビデオでは水俣病が引き起こした訴訟問題が生々しく映し出されていた。内容としては国が水俣病患者を水俣病だとせずにいることに対する問題や、お金で解決しようとする問題があげられていました。水俣病は健康保険が使えないらしく、きっと水俣病と認められなくてもお金を受け取ってしまった患者も少なくはないと思う。また水俣病が発生してから排水処理の機械を取り付けたがサイクレーターがなかったために効果が表れなかった。水俣病の原因であるメチル水銀は水に溶けるため沈殿しないのである。そんな初歩的なミスを国が起こしてしまった。水俣病の起こっていた地域には松本医師という医師がいた。この人は患者をどうにか水俣病と認定してもらうために努力をしていた医師の一人であるとビデオで紹介された。この医師が一生懸命に水俣病とした患者もついには呼吸不全となり死亡するケースもあったという。なぜ罪のない患者がここまでして守られない世界であるのか、国や工場の管理人に対して伝えたい…。どれだけ思うように動かない手や足を憎んだか、伝えたい言葉を言えなくしてしまうのか、体がどれだけ痛く苦しいのか…。患者やその家族に申し訳ないという気持ちがないからの行動にしか思えなかった。もし、そこで彼らの家族や大切な人が水俣病となったとしたら、彼らは気づくだろうと思う。今、水俣病患者に必要なのは訴訟を起こすことではなく、またただ単に病気を治すことでもないと私は感じた。彼らはきっと同じことを繰り返してほしくないのだと思う。自分たちのようなつらい思いや不安な気持ち、病気を認めてもらえない悔しさを味わってほしくないのだと私は今回いろいろな情報を得たことによりそう感じた。こんな環境におかれた場合果たして医師に何が求められるのか、下に挙げる論文やビデオからどのようなことを結果感じたか【考察】部分で述べていきたいと思う。

【選んだKEYWORDS】
 環境汚染・感覚障害

【選んだ論文の内容の概略】

@日本内科学会雑誌 第91巻第12号 H14.12.10
 患者が多発したのは水俣湾の奥座敷のある一帯で、患者は漁民とその家族に多く見られた。またこの部落にすむ野良猫もあちこちで奇妙な行動をとり、最後は海に落下して落ちて死ぬこともあった。しかし、炎症所見も全くなかった。この筆者を含む医師たちはこの未知の病気を知るためにまず病状や所見を正確に把握することを考えたという。そしてクライテリアを確立することにより、最終的にはこの病気についての症状や所見を集計することができるとした。しかしこの当時神経学的な訓練を受けているものはいず、ほとんど途方に暮れる思いであった。だからこそ彼らはまず行動をビデオに納め、言葉を録音することを始めた。そして筆者はある本を参考に水俣病に関して知ることとなった。その本はまず症状を挙げていて、その横にその症状を引き起こす毒物の名前を示していた。水俣病患者の人に多く見られた例としては『視野狭窄』があげられ、この言葉を引いてみるとメチル水銀という言葉が出てきた。逆にメチル水銀を引くと症状に見られた【視野狭窄】【運動失調】【難聴】【四肢の感覚障害】などがでており、本病に似通った点が記載されていた。その当時では水俣病患者を多く出した原因となった<チッソ>という工場があった。この工場はこの地域の死活を握っていたといえるほど大きな工場だった。また水銀は高価なものであったためチッソがあの広い海を汚染してしまうほど水銀を流すわけがなく、しかもそれをしたとしても放置するはずがないと考え、メチル水銀から離れたという。しかし数年後、やはりメチル水銀に戻ってきた。長年水俣病患者の症状や所見を集計したからだ。つまり、【視野狭窄】【難聴】【言語障害】【運動失調】【感覚障害】【振戦】といった症状・所見が70〜90%に達したからだ。この病気が水俣病であると確信するため、尿中水銀量をはかった。健康人は15γ/L以下のところ、水俣病の人は115〜134γ/Lとなっていることがわかった。また、猫についての実験も行われた。まず自然に発病した猫を用いて観察した。ほかの健康な猫よりも痩せて、毛が粗になり、つやがなく、歩き方はヨロヨロしていた。階段では足を滑らしてしまい、高いところから落ちても胴体着陸してしまうほどだ。3、4日後やみくもに突進や逆立ちをし死亡してしまったようだ。この結果を元に水俣湾で取れた魚介類を投与した猫と有機水銀であるエチル燐酸水銀を投与した猫を観察した。どちらも最初にあげた自然に発病した猫と同じような経過をとった。猫だけじゃなく脳の病理所見も有機水銀中毒に一致し、水俣湾の泥やそこに住む魚介類からも大量の水銀が証明されたのだ。

A臨床神経学 第42巻6号 2002.6
 宮崎県のある場所で砒素鉱山があり、第4の公害病とされた中毒症がある。この鉱山公害による慢性砒素中毒症と思われる症例9例を元にそれらの神経症状を報告している。主に症状として、感覚優位の多発性ニューロパチー〈多発末梢神経障害〉である。ほかに四肢末梢の表在・深部感覚がともになくなったり、高度な低下状態になる例もある。また顔面や頭髪部、角膜、口腔内の感覚も低下して、その分布が全身に及ぶものもいたという。表在感覚低下の指標1つとして入浴温度と飲湯温度に対する温度感覚が著しく低下していた。脱力はごく軽度だったらしい。神経伝導速度は正常または1部で低下し、ヒ腹神経生検では、小径有髄神経線維と無髄神経線維の減少がみられ軽度の軸索変性が主体であった。そのほか嗅覚・味覚の著しい低下、緊張型頭痛、頻回のこむら返りもみられた。

【論文とビデオの内容から将来医師になる目で据えた考察】
 論文とは別にある本を読んだことがある。この本の中では咽頭の痛みで話せない人の話があり、すごく患者の気持ちを考えさせられるものだった。その患者は話せないために妻にさえも思っていることを伝えられなかったのだ。だから、医師たちの独断のような治療が続けられた。毎回痛みのある痰の吸引や、機械的に動く看護士のケアを受けるのを拒むことができなかったのだ。ついには妻が見兼ねて治療をストップすることになるがそのときはすでに遅かったのであった。この患者はなにを思って死んでいったのだろうか。たぶん痛みを少しでも減らしてあげられたら、苦しまずに死んでいけたのではないかと思ってしまう。きっとこの患者もせめて痛みをとってほしいと思っていたと思う。医師はよく延命治療が最良だと思ってしまうが、患者にはそれが最良でないことが多いのではないかと感じることがある。水俣病患者の場合も同じことがいえるのではないかと思う。私は、全ての患者に同じ治療を施すのは違うと思う。その人一人一人はあらゆる環境にいる。貧しい人もいれば、裕福な人もいるし、子供、老人であったりもするし、家族や支えてくれる人がいる人もいれば、一人きりの人もいるだろう。今回水俣病には健康保険が使えないために治療を望まない人もいたのではないかと思う。ビデオでは認定してくれといった訴訟が起きたり、デモが起きたりしていたがそんなことが起こってしまうことがおかしいと私は思う。罪のない患者が痛みに耐えているというのに、救いの手を国は伸ばそうとしていなかった。まず、こういうことを国が認めて、スムーズに治療にむかえるようにしてあげたいものだ。しかも、治療といっても一人一人に合ったものであることはいうまでもない。なぜ、こんなに個人を大事にしたいかというと、患者は物ではなく同じ人間だということを主張したいからだ。きっと今回の問題を軽く考えていた人は自分とは無関係だとどこかで思っているからだと思う。しかし、確かに思うことは実際に遭っていないと想像もできないということだ。でもそうだからこそ、いったい何ができるのだろう、とみんなで考えることが重要だと思う。なぜ今回こういったことが起こってしまったのか、それはわからないが、誰もが責任転嫁しようとしているのはよく汲み取れた。そういうことではなく、どうやって患者たちの意見に耳を傾けられるのかが大切だと思う。

【まとめ】
今回改めて水俣病について知ることができた。水俣病はさまざまな問題を引き起こしていたのがわかった。【はじめに】であげたように訴訟問題などが起こってしまった。しかしやはりそんなことを水俣病患者は求めていない。水俣病患者はもう二度とこのような問題を起こしてはいけない、と考えていると思う。われわれ医師となる人、医師である人ができることとはそんな問題が起こってしまったときにどんな判断ができるのか、を考えさせられたと思う。結局、私は患者一人一人に対して最良の治療ができることが一番だと思った。これはほかの人とは違ってくる考えかもしれないが、これを第一と考えられる医師になりたいと思った。今回は水俣病に関してのものだったが、まだまだ世の中には解決できない問題がたくさんあると思う。それを医師であるわれわれがどう行動していくのかを考える糧になればと思う。これからさまざまな患者に出会うことになるだろう。そのときどれだけ患者と向き合えるか、コミュニケーションを取れるのかを考え、その人に合った治療をしてあげたいと思う。これから水俣病のような問題が起こらないようにねがうしかないのだろうか。無実の被害者を増やしたくないものである。もし被害者が出てしまったら、その原因も大事だが、患者にどんな治療が必要かを真っ先に考えるようにしていきたいと思う。
※前日にフロッピーのデータが全て消えてしまったので、急いで仕上げた分、言葉がおかしいところもありますが、お願いします。