2015年臨床環境医学第24巻2号をお届けいたします。今号から次号にかけては,去る2015年6月6~7日に鈴木会長のもとで,北里大学の白金キャンパスで開催されました第24回日本臨床環境医学会学術集会からの特集,さらには一般の原著投稿を掲載しております。学会のテーマが「豊かな生活環境をめざして」でしたが,当日のご発表を改めて誌面で再確認の上,今後の学術研究あるいは健康の不都合を抱えていらっしゃる人たちへの支援の糧に出来ればと思っています。
北里大学白金キャンパスといえば,ご存知のとおり,今年のノーベル医学生理学賞を受賞されました大村智特別栄誉教授が,北里大学で研究・教鞭を取られていたまさにその場でした。大村先生が発見された細菌の作る物質を基に製品化されたイベルメクチンは,寄生虫が原因で失明につながるオンコセルカ症や,皮膚が硬くなるリンパ系フィラリア症などに使われてきて,WHO
もこれらの疾患が10年も待たずに撲滅できるのではないかと見込んでいる程で,国際保健,世界の多くの人々の健康に大きな貢献をされたことが受賞の理由となったという報道でした。本当に素晴らしいことですし,その研究の場で,日本臨床環境医学会の学術集会を行えたことも2015年の素晴らしい記憶になると思っています。受賞当日のニュース報道などでは,学生さんのインタビューで,学術集会が行なわれた辺りの画像も拝見できました。
環境からの健康影響に苦しむ人たちは,まだまだ沢山いらっしゃいますし,医学研究としてそういった疾患の病態の解明,そこから始まる治療法の開発,さらには現在の苦しみを支援していく良好な方策の検討など,日本臨床環境医学会を中心に進めていかなければならない課題は山積みなのかも知れません。会員の皆様が,そういった事象に真摯に向き合う一つの材料としても,本機関誌が役立てば素晴らしいと思っています。
学術集会からの論文のみならず,一般の総説や原著の投稿もお待ちしております。皆様,よろしくお願いいたします。
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