2003~2020年度の川崎医科大学衛生学の記録 ➡ その後はウェブ版「雲心月性」です。
臨床環境医学 編集後記 Vol.23 No. 2. 2014
編集委員長を務めております川崎医科大学衛生学、大槻剛巳です。既に、2015年の学術集会も盛会裏に終了しましたが、今号は、前号に引き続き、2014年の学術集会@京都のシンポジウム等からの特集号とともに、同学術集会での会長賞・奨励賞の受賞論文の掲載となっております。昨今の学会等で刊行する学術雑誌の中で、特に和文誌の位置付けというのは難しくなっていて、学術論文は広く世界に公表していくことが、求められる中で、当然、英文の国際誌への投稿になりますし、昨今は open access journalの刊行も増え(本当にいろいろありますが)、私が若い頃に比べるとそういった意味での研究成果発表の選択肢は随分増えてきたように感じます。翻って、和文誌ですが、まず和文であれ英文であれ、従来は学会員というクローズドの中で閲覧できるもの、もしそうでない人が必要とする場合には、大学の図書館などで複写をしたり、所属大学にない場合には図書館経由で保有図書館などを探してもらって複写依頼をして送っていただくなどということがありました。しかし、研究自体が研究者のポケットマネーでなされているのではなく、多くは国税などで賄われている現状で、その成果は経費の支出者に公開し共有するべきであるというコンセプトが一般化する中で、和文誌であっても公開を旨として、事実、本雑誌も日本臨床環境医学会 WEB で公開にしています。そして、その内容として、我々日本人としては、やはり日本語だと斜め読みをしたり、at a glance で重要なキーワードを探し当てたりというのは、なんといっても英語論文などよりも簡単でできます。それを考えますと、今号の様に、学術集会などの企画セッションからの総説を掲載して、それは教育的な内容、あるいはそれぞれの会員として専門外の領域であっても比較的容易に現状を理解できる場ともなろうかと思っています。もちろん、現在の私は、暫定的な編集委員長の継続体制の中にありますので、今後、学会の運営体制などが刷新された後は、それぞれの担当の役職に就かれる先生方によってよりベターな運営あるいは編集がなされていくべきなのですが、現状での担当者としてのメッセージと受け止めてくだされば幸いです。今後共「臨床環境医学」をよろしくお願いいたします。

大槻剛巳