2003~2020年度の川崎医科大学衛生学の記録 ➡ その後はウェブ版「雲心月性」です。
臨床環境医学 編集後記 Vol.15 No. 1. 2006
 昨年の総会の頃には,アスベスト問題が「臨床環境」てきにも話題となっておりました。これまで如何せん,作業現場の塀の中の話題として取り上げられていたものが,周辺住民での曝露に伴う中皮腫発症の事実が認知されて行くにつけ,「環境」としての話題になったものと感じられました。新法が出来,救済という形は取られるようになってきましたが,依然,中皮腫の治癒率や予後は発症された方々への不安の除去には程遠く,今後,臨床的な立場からもその改善のための基礎的臨床的な検討が必須となります。手前みそですが,私どもの教室は以前よりアスベストや珪酸の研究を進めておりました関係で,関連の演題を本学会の総会で報告させていただいており,誌上でも掲載させていただいたりしてきました。また,関連のプロジェクトも遂行する立場ともなっておりますので,会員の皆様にはご協力ご支援をお願いいたしたく存じます。さて,2006年になってからは,スポーツ界でのヒロイン・ヒーローが話題をさらうことも多く,トリノの荒川静香さんに始まりました。彼女もクールビューティーと例えられるように,これまではその容姿の雰囲気もあいまって「孤高」のイメージだったのですが,五輪前後の報道から他の選手との触れ合いや日常の様子など,熱き想いの噴出している姿が我々の心を打ちましたし,プロ宣言以来,テレビなどにも多く出て,先日はドラマにまで出ていました。時期移って春先には,WBCの日本チームで活躍でした。それまで「孤高の人」であったイチロー選手の感情むき出しのリーダーシップも話題(イチロー選手もそういえば年明け早々にTVドラマで才能を見せつけてくれてましたけど)になりました。そして,本原稿を打っている今は最終結果がどうなるか判りませんが,W杯ジーコ・ジャパンへの期待が高まっております。その中でも,中田選手が「孤高」のっ分をかなぐり捨て,チームのために必死になっている姿が,好感を持って受け入れられているようです。「臨床環境」を考えていく中で,最終的に人びとの暮らしにその成果を還元していく,環境の不義愛から臨床的な健康の不都合を感じられる方の福音となる仕事を蓄積していく・・・そのための「孤高」でないリーダーシップのためにも,本学会は一層汗を流していくべきなのでしょうね。今号にもそのような論文や報告が多く掲載されたと嬉しく思っております。それでは,杜の都で,お逢いしましょう。
(2006年6月初旬 記) 大槻